限界オタク日記

結構色々なんでも書きます

とりあえず蒼ルートをクリアして

 四連休も始まるのでと、せっかくなので前から気になっていたサマポケをこの機にプレイしてみることにした。

 物語はなんと夏休みに鳥白島を訪れた高校二年生である「鷹原 羽依里」を主人公と据えたもので、ちょっといろいろあって寝込んでいたり、卒論の進捗がダメダメであった自分にはプロローグが始まったあたりで眩しさで目がつぶれるかと思った。

 

 そんな気持ちでプロローグを終え、その中で一番気に入ったヒロインが「空門 蒼」だった。

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 初めの出会いは彼女が道端の気の木陰で寝ているところを目撃したのが最初だった。このシーンを見てまず思ったことは、女の子が外でこんなに熟睡していて大丈夫なのか?普通外で年頃の女の子が寝ているのはヤバいのでは?と思ったがここは私の住んでいるところではなく、鳥白島という自然あふれる島なのだと気づかされた。ここで私の意識は現実からこの鳥白島までやってきたのだと思う。つまり彼女が私をこの世界に連れてきてくれたのだと思った。それがこの空門 蒼という少女を気に入った理由だろう。あと胸がデカい。

 

 最悪な初対面であったが、気さくな彼女は歓迎会まで開いてくれ、必然的に遊ぶことも多くなった。というか蒼は割とムッツリだったり、ノリがよかったりと親しみやすい部分が多く、彼女とのストーリーを見ているときの私は結構笑い声が多かった。

 

そんな中のこれである

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 ラッキースケベ、それはギャルゲではおなじみのモノだろう。しかし蒼とは気の合う友人のようなストーリーが多かったため、このように急に女性であると強烈に意識させられるとは思わず驚いた。なんならディスプレイの前で「うおお!」みたいな声も出た。

 まあその後に起きたかき氷合戦によって爆笑に上書きされたのだが…、かき氷合戦が気になるのなら一度ぜひプレイしてみてほしい。笑うから

 

 そうやって過ごしていると、自然と蒼に会えるであろう駄菓子屋に足を運ぶことも多くなり、宝探しごっこをしているような少年三人組もよく見るようになった。私も子供のころはそうやって外に楽しい何かを求めて遊んでいたような気がする。子供のころ置いてきてしまった何かを取りに戻れたようで元気が湧いた。

 話を戻そう、そうやって夏休みらしい夏休みを過ごしていると、眠れぬ夜に別人のような蒼に会った。

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 正直、蒼ではなく双子のお姉ちゃんか何かだと最初は思った。胸がデカくて、ムッツリスケベで、気さくで、いつもどこかで寝こけてて、バカみたいなことを一緒にして笑っていた蒼とは雰囲気がまるで違っていたから、だけど次の日誤魔化すのが下手な蒼のおかげで、夜の山で見た蒼っぽい人は蒼であったことが分かった。ポンな蒼もかわいいね。

 そうして始まった蒼ルート、話を進めていくとどうやら昏睡状態であるお姉さんを起こすためにお姉さんの記憶を持った「七影蝶」を探しているのだという。「七影蝶」というのは未練の残った魂の記憶、その残滓らしく触れると記憶に飲み込まれることもあるのだという、詳しくはプレイしてみてほしい。

 イメージとしてはガンダムUCのバナージのように人の死を感じ取れたりするものだろうと考えている。言うなれば「今、俺の体を誰かがすり抜けていった」といったところだろう。

 んで、危ないからとかの理由で最初は断れ続けていた蝶探しだが、折れたのは蒼で手伝えることになった。そりゃ好きな女の子の力にはなりたいよな僕もそう思いますけど。

 

 しかし探せど探せど蒼のお姉さんである藍の蝶は見つからず、時間だけが過ぎていった。

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 病室で眠り続けている姉である藍に語り掛ける姿と「双子なんだから分け合えるものは共有したい」という言葉に強く胸を打たれた、なんなら泣いた。

 たとえ相手が肉親であろうとここまで真っすぐな献身をすることができる人間が世界にどれだけいるだろうか、私はこの時画面の向こうの藍が目覚めるエンディングであることを祈るしかなかった。

 

 

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 また蝶探しを続ける。未練なんて人の数だけあるのだ、そんなものが集まってくるこの島で、たった一匹の蝶を見つけることなんてできるのか?

 不安が襲い、蒼に問いかけた「どうしてそんなに頑張れるんだ」と、すると彼女の話を聞かされた。仲良しの姉妹に起きた悲劇を、その経緯を

 そして蒼は「謝りたい」「酷いこと言ってごめんと言いたい」そう言った。世界でたった一人の姉と仲直りがしたいのだと、背中から伝わる彼女の震えを分からないふりをした。

 夏なのに凍えてしまいそうだった。いや現実はもう秋なんですけどもそういうことではないんです。

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 全てを知らされ。よりいっそう愛が強まった。蒼が愛おしいと思った。

 星が降る夜、二つの影が重なった。

 

 普段の蒼とは違ったしおらしい姿の蒼に思わずドキドキして、なるほどなぁ、ヒロインはこうやって可愛く見せていくのかと素直に感心した。ギャップ萌えについて一つ理解が深まったかもしれない。

 

 二人が一つになった夜を越えて、蝶探しは再スタートを切った。

 そんな中、全身の血の気が引くようなハプニングが起こる。眠っていた藍の心臓が止まったのだ。しばらくしてなんとか持ち直しはしたものの一度心臓が止まったのだ、次がないとは言い切れない。

 空気が重くいつも騒がしいはずの天善や良一もまるで口が開かない、生きてさえいればいつかは目が覚めて会えると思っていたのだろう、しかし今日死ぬかもしれないという可能性を目の当たりにして全員が言葉に詰まっていた。

 

 最後まで残っていた羽依里だが、蒼の母親から蒼がとっくに帰っていることを聞かされ、その瞬間飛び出した。蒼の行き先は家ではないことはわかっているし、当然今自分が駆けて向かっている場所も同じだ。

 

 蒼は間に合わないかもしれない恐怖から、無茶な蝶探しをしていた一日のキャパがだいたい5であったのに今日は深夜になっていないにも関わず10近い蝶が灯篭の中にいた。脳のキャパがパンクしそうな蒼は一時の眠りにつき、そんな蒼を守っているような蝶に出くわした。

 弱弱しい光を放つ蝶に恐れなく手を伸ばした。「やっと見つかった」その気持ちでいっぱいだった。

 

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 朝を迎えた。

 目線の先で笑いあう姉妹が見える。目に涙を貯めていて、それでも幸せそうに笑う二人に涙が止まらなかった。自分は百合愛好家であるから「あら^~」なんて言葉が出るかと思いきや、そんな言葉を発する気にすらならないくらいにこの瞬間は尊いものに感じた。

 この夏での蒼しか知らないが、一年前もまたその一年前も、そのまたもっと昔も姉に起きてほしい、謝りたい一心で努力し続けていたのだと思う。それを想像するとまた泣きそうになるのだが、泣き続けているとルートが終わらないのでストーリーを進めることにする。

 物語もクライマックスを越えたのか柔らかな雰囲気が流れ始める。ちょっと前重苦しかった野郎どもの騒ぎ声を聞いて、ハッピーエンドに向かうだけかな?なんて考えていたが、蒼の声が聞こえない。

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 どうやら蝶に触れすぎて疲れて眠っているらしい。記憶の整理ができれば起きるらしいし、蒼は慣れているとも言っていた、大丈夫だろう。

 そう思って蒼が起きるまでのストーリーを進めていった。一日進んだ、まだ起きない二日目進んだ、起きない。

 不安になるが待ち続ける。そうして長めの眠りから覚めた蒼を見て良かったとホッとしたのもつかの間、「いつまで起きていられるかわからない」「だから望みをかなえてあげて」蒼の姉である藍はそういうのだその言葉を蒼も否定しないのだ。

 絶望した。ようやく姉と出会えてここからたくさん思い出作って10年間分の思い出を埋めていくのではなかったのか、これでは入れ替わり、時間の椅子取りゲームのようなものじゃないか。誰かが席を譲らなければ起きられないのか、そう感じた。

 選択肢を間違えたのかと正直思ったが、ストーリーをこのまま進めていくことにした。

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 蒼を背に乗せ、村の中を歩き回る。この絵だけ見れば間違いなくハッピーエンドのように見えるが、この幸せは蒼がもう一度眠りにつくまでしかないものだと知っている。もうすぐ終わりを迎えるものだと知っているから涙が止まらなかった。

 いつも騒がしかったはずの蒼が大人しいこと、時間がすすむにつれて口数が少なくなっていくこと、そしてなにより恥ずかしがり屋の蒼が素直に甘えてくることが、最後だから素直になろうとしているようにしか見えなくてひたすら辛かった。

 時間の椅子を譲れるならば譲ってしまいたくなるほどに。

 

 蒼といろんなところに行った、かき氷合戦をした駄菓子屋、蒼が考えすぎてから回った神社、最初に出会った田舎道。この夏出会った場所を巡り出会えて良かったと思うとともに出会わなければよかったのかとも思ってしまう。

 別れの時はゆっくりと近づいていた。

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 夜になり、蒼の希望で後回しにしていた御神木までやってくる。背に乗っている蒼はすうすうと寝息を立てていた。

 星が煌めいている夜空のはずなのに、今は蒼を連れて行こうとしている闇にしか見えない。

 背にいる蒼に声をかけても、ゆすってみても返事は返ってこない。正直もう見ていられなかった。救いはないのか

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 そうこうしていると蒼の体から無数の「七影蝶」が飛び立った。まるで命が抜けていくみたいに。

 これだけの記憶に飲まれ続けていたのかと、今まで蒼がどれだけ頑張ってきたのかが分かる。それだけにこれはあんまりだと思った。姉と再び笑うために頑張ってきたのではないのか、恐怖を飲み込んでいつか幸せな未来があると信じて頑張っていたはずじゃないのか、散らばっていく光を泣きながら追いかけた。

 そして一つの蝶に指先がかすかに触れた。

 蒼の記憶だった。初めて会った時の記憶から今に至るまでの記憶、どうやって羽依里のことを好きになっていったのか、どうやって惹かれたのかが理解できた。

 こういったゲームではヒロイン側の描写があったりするのは普通だが、この蝶を通して主人公に記憶が流れ込むような描写の中で蒼の気持ちが、本音がしっかり分かっていくというのは新鮮だった。

 そして聞こえた「好き、大好き。」というこの単純で純粋な愛の言葉に、気持ちに限界を迎え21歳学生である私は自室で声を上げながら泣いた。

 この記憶に確かに羽依里は少しながら救われたのではないだろうか。

 夜空に消えた蒼の記憶、見送った後、抜け殻になった蒼の体を背負いゆっくりと山を下っていきエンディングを迎えた。

 

 

 

 

 それから一年?もしくは二年?いやもっと経っているかもしれない。どれだけの時間が過ぎたのかは分からないが、きっと記憶を見つけたのだろう。姉を起こすことを諦めることのなかった蒼のように必死に努力して

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 そうして迎えに行った蒼にこう言ったのではないのだろうか、「おそようさん」と

 その後の二人がどうなったのかは分からないけど幸せであることは間違いないだろう。そう願っている。

 

 サマポケ感動をありがとう